「……うん」
「じゃあ。もう一度、心変わりして」

 恋心は、一時的なものなのかもしれない。

 変化してしまう。

 でも。

「できない」
「どうして?」
「育めるから。……愛情は」

 恋心は萎むこともあれば膨らみもする。

 アイツに出逢わなければ、ずっとチサトを想っていたかもしれないし。

 アイツでもチサトでもない、誰かを好きになったかもしれない。

 そんな別の未来があったとしても。

 今のわたしの心にいるのは、紛れもなく、彼なのだ。

「始まっていなかった。チサトとは」

 ちゃんと、好きだった。

 初めて男の子といて心から楽しいと思えた。

 だけど今は、そうじゃない。

 他の誰でもないアイツと育てていきたい。

 新しく芽生えた感情を、これからも、ずっと大切に。