少々どころか、いささか複雑な事情がありそうで。

 しかしそれを迂闊に聞いてしまっていいか、わからない。

 たぶん触れない方がいい。

 なんにせよ

 チサトは高校を卒業したら、今よりずっと忙しくなるだろう。

 それに、離れたところで暮らすんだ。

 そうなると、もう、こんな風に話せなくなる。

 だったら今のうちに――高校生のうちに、また、こうして会えるといいな。

 そうだ。

 これから試合あるときなんかに、わたしから声をかけてみてもいいだろうか。

「……チサト?」