氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。

「新しい生活に不満はなかった。一人には慣れていたし、誰かとつるむつもりもなくて。ただ、一つだけ気がかりなことがあったとすれば。それは――纐纈のことだった」
「……わたし?」
「一人で悩んでないかって」

 そんなこと考えてくれていたの?

「大丈夫。楽しくやってるよ」

 みんなのおかげで。

 アイツの、おかげで。

 それから

 チサトが離れた場所でもわたしを想っていてくれたおかげなのかもしれない。

「ひと目見てわかった。纐纈が今を精一杯生きてること」
「うん」
「安心した反面。ジェラシーも感じてる」

 ……え?

「離れてみて。わかったことがある」

 風でサラサラと揺れるチサトの髪は

 こんなに青がかった黒色だったろうか。

 耳の上の方にあけられたピアスも

 なんだか当時のチサトからは、想像ができない。

 優等生っぽくもなかったが校則違反するようなやつじゃなかったから。

 違和感を抱いた、そのとき。

「纐纈。好きなやつ、いる?」