「ひとりの時は咥えてるって話は……ホントだったんですね」
「はやく出ていくことを推奨します」

 なにか用事してるみたい。

 ベッド横のテーブルに向かっている背中しか見えないけど。

 灰皿にタバコを押し付けると、もくもくとあがっていた煙がなくなった。

 苦そうな香りではない。

 どちらかというと甘そうな。

 こんなタバコもあるんだな、知らなかった。

「気分はどうですか」
「最悪です」

 部屋、散らかりすぎです。

 あちこちに書類あるし、この2日間でここまで汚れる意味がわからない。

 この顧問にして、あの部室。

「まだフラフラします?」
「あ……いえ、体調はすっかり回復しました」