脳裏を過ぎったのは、

【チサトって名乗ってた。心当たりある?】

 ――チサト

 口元にほくろがあった?

 そう聞いて、

【あったあった。尖ったあごで、クールそうな】

 紗里の返事を見て確信した。

「……チサト。帰ってきたんだ」

 わたしの地元に。

 おかえり、でいいの?

【また来たら連絡先、聞いておこうか?】

 中学のクラスメイトで。

「見つけてくれたんだ。わたしのこと」

 初めてわたしが恋した男の子だ。