#37 限界


「端的に話すと。俺は親父が使用人との間に作った子供で」

 ――――!

「色んな女の子と寝ることに抵抗ないのは父親譲り。もしもそれを悪だとすると。俺は俺の存在そのものを否定しちゃうことになる」


【君にとっての悪は必ずしも悪ではないってことは頭に入れておいてよ】

【暇潰しさ】


「って、そんなことはいいか」

 よくない。

 わたし、成澤の気持ち考えずに酷いこと言った。

「別に今更エリナちゃんに隠し事する必要もないんだけど時短のために省略すると。まあ色々あって、しばらく俺は実家から離れた場所で育てられた。育児放棄されてたようなもんだった」

 なんともないように、話すけど。

「優秀すぎる兄貴がいるから誰も俺に期待なんてしてなかったんだ」

 苦しいよね……?