「もうはやく風呂行け!」
「みんな入り終わったあと。2人でこっそり入ろうか」
「断る」
「じゃあ氷河と3人は?」

 増えたからといって許可するわけないだろうが。

 ……知ってるけど。

 またそうやって気をつかってくれてるんだって。

 先輩、後輩として気まずくならないように。

 部内の雰囲気がよくなるように。

 そうだよね?

 ムードメーカーさん。

「……あのさ」
「ん?」
「おじいちゃんに買ってもらったスティックとか」

 捨てられたっていう、あの話。

 聞いたとき。

 わたしまでショックだった。

「あー、あれね。作り話だよ」
「え?」
「2つ目の条件も。ウソ」

 ――ウソ?

「同情を引いて。親近感抱いてもらえたら。落とせるかなと思っただけ」