「みんなジャージで寒くないのはそれだけ寒さに慣れてるってことだよね。ハーフパンツの子もいるよ」

 ほんとだ。

 元気すぎやしないか。

「ランニングの途中で涼みに来たのかもしれませんね」
「うーわ。帰れ」

 しかし。

 鼻で笑いに来たって……

 舐められてるってこと?

 思わずギロリと睨み付けたら相手チームの部員の一人と目が合った。

 その男子がとなりの男子の肩を叩き、

 そしてまたそのとなりの男子を呼んで

 こっちを見てなにか言っている。

 なにあれ。

 文句あるならかかってこい。

 こっちにはな、

 強面の力也さんもイガラシさんも

 そして味方のうちは狡猾で役立つ成澤もいるんだからな。

 当麻氷河は基本的に無愛想だがキレると担任でも殴り飛ばすヤバイ男なんたぞ。

「おいちょっと見ろよ。あの子」

 フジオがそう言うと、

「めちゃくちゃ可愛くね? 相手チームのマネージャー?」

 藍さんが続いた。

「レベルたけえな」
「声かけてこいよ」
「ムリムリ。つーか、お前がいけよ!――といった感じでしょうか」

 なに声をあててるの。

 そして息がピッタリすぎる。

「まあ。油断させておけばいいんじゃないですか」