「洗い場行ってきます」
「待って」

 立ち去る天津さんを、追いかけた。

「来ないで。纐纈さんがいないと男子部員のモチベーションが下がる」

 今そんなこと気にしていられるか。

「あのさ!」
「なに」
「天ちゃんって。呼んでいい?」
「……は?」

 気づいたの、わたし。

「もっと仲良くなりたいから」

 自分で壁を作ってきたってことに。

「友情ごっこしたいなら。よそ行ってよ。私は真面目にアイスホッケー部で――」
「わたしだってガチ勢だから!」
「は?」
「だから。熱心な天ちゃんに嫌われたくない。一緒にアイスホッケー勉強して。応援して。一緒に感動して。バーベキューしたい!!」

 どうでもよかったら、こんなこと、頼まない。

 仲間になりたい。

「……あなたのそういうところが」

 キライ?

「かわいすぎてムカつく」

 ――え?

「私は真似できない」