氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。

「……はい」

 イガラシさんは、なにも言わない。

 じっと待つことしかできない。

 言いたくないなら無理に言わせたくないと思うけど、知りたくなってる。

 だってイガラシさんは、あの成澤に天才って言わせた男なのだ。

「今思うのは、昔の俺は視野がとんでもなく狭かったということ」

 ……視野が?

「こうして成澤の誘いに付き合うのも。これが最後になるかもな」
「なんでですか。また、クロスアイス誘ってって――」
「思い出せないんだ。どうしても。純粋にアイスホッケーが楽しくて練習に励んでいた気持ちも。チームで勝ちたいと言う気持ちも」
「……イガラシさん」
「今夜の氷上練習も。最終日の練習試合も。きっとここの連中は、みんないい顔して氷の上に立つのだろう。喜びをわかちあい、悔しさも、苦しみさえも共有し成長する――そんなチームなのかもしれない。けど俺はそういうの。求めていない」