固まる真柴くんと、眉間にシワを寄せる藍さん。

 どうしてくれる、この空気。

「ご馳走様でした」

 手を合わせて挨拶をすると食器を持って天津さんが立ち上がる。

「ご、ごちそうさまです!」

 彼女に続いて席を立つと、洗い場へ向かった。

「みんなよく食べるよね。さすが運動部」

 黙々と食器を洗う、天津さん。

「完食してもらえると作る方も気合が入るし。みんなでご飯食べるのって美味しいね」

 団体行動はキライだった。

 たとえばみんなで給食を食べるより一人で好きなものを食べるのがラクだと思えるようになったし。

 食べることを好きになれない時期も、あった。

「来てよかったなーって。思う」
「なにしに来たの」

 ――え?

「チヤホヤされたいだけなら。別にうちの部じゃくてもよかったんじゃない」