「兄貴は就職が決まれば、この家に戻ってくる気でいる。俺たちのためだ」
「そうだったんだ」
「兄貴がアイスホッケーを辞めるの見て。俺もそうするつもりだった」

 ――――!!

「弟たちには続けさせてやればいい。ただでさえ寂しいときにアイツらからアイスホッケーまで奪ったら辛いとわかったから。でも。俺はこれまで通りの生活してる場合じゃないと思った」

 大好きで病まないアイスホッケーを諦めようと考えるまで追い詰められていたなんて。

「高校を――いいや、中学を卒業したら働くつもりだった。そんなとき。ナリさんに誘われた」
「……成澤に」
「元々向こうに住んでたときからSNSで繋がってたんだ。俺がログインしなくなったの心配したんだろうな。個人メッセージをくれた。最近どうって」