「課題。エリナが甘えれば男子は鼻の下伸ばして見せてくれるの、なんでかなー?」

 男子が女の子に弱いから。

「わたしの代わりに板書とってくれたり。テスト予想してくれる人も、いるんだよね」
「いいと思うよ。自分の武器がわかってるところ。自称天然オンナ見てるより清々しい」

 沙里の、こういうところ好き。

「……頭のいい女になりたい」

 バカは、嫌だな。

 狡猾って言葉に惹かれる。

「勉強教えて、沙里」
「それを頼むならガリ勉くんにどうぞ」
「えーっ」

 勉強教えてもらうのは、ノート借りるのとわけが違う。

 なるべく男子をパーソナルスペースに侵入させたくない。

 用もないのに話すのなんて、せいぜい3分が限界だ。

「っていうか。当麻いるじゃん」
「は?」
「昨日、昼休み一緒に過ごしてたんでしょ」
「……あれは」

 紙ヒコーキについての議論をしに行っただけ。

 しかしアイツとの時間は、けっこうすぐに過ぎたな。

 3分なんて……あっという間だった。

「英語だけでも教わったら」

 古文教えてあげたから今度はそっちが教えてって頼めば断らないかな。

 いや、でも、こっちからアイツに頼み事するのもなあ。

「帰国子女だからネイティブ並みに流暢だよ」
「そうなんだ。キコク……」