氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。

 ドクン、ドクン

「ヤローしか住んでない家の風呂場だ。あんま気のきいたもんねーけど」

 ……男だけ?

「置きたいものあれば。置いてくれていいし。それか言ってくれれば用意する」
「そ、そんな。大丈夫だって」

 欲を言えばメイク落としや洗顔や化粧水、わたしが普段使ってるシャンプーなんかがあると嬉しい。

 常備されてたら最高すぎる。

 でも、あんたの家のモノ使うのも、わくわくする。

 って……

 そんなことして家族からのツッコミは大丈夫?

 見つかったら気まずくなるんじゃない!?

 だったらわたしが持ってこればいいんだよ。

 携帯サイズのを。

 でも常にそんなの持ってたら引かれる?

 したくてたまらない子、みたいな。

 泊まるつもりなのかよ!……って。

「そこまでしてもらうの悪い」
「悪くない」
「え?」
「そしたらもっと気軽に来られるだろ」
「……氷河くん」

 また来ていいんだ。

 迷惑じゃ、ないんだ。

「ほぼ。依里奈と一緒にいたい俺のワガママ」

 激しい胸の鼓動は、おさまることを知らない。