「帰るな」

 ――――!

「なに遠慮してんの」
「……は? エンリョ?」
「ろくに話したこともねーのに、紙飛行機の作り方を教えろだの。人が勉強してんのに気にもせず話しかけてきてたの誰だっけ」

 そんなこともありましたね。

「だいたい。起きてお前いなかったら。……ツラいだろ」

 そういったアイツの目は虚ろで、

 傍にいたいと強く思わずにはいられない。

「逃げんな」

 逃げてるんじゃないよ。

「負担になりたくないの」
「なるかよ」
「え?」
「救われることはあっても。負担になることなんてない」

 今度は、まっすぐな目を向けられる。

「……当麻氷河」
「いっかい俺がどんなけお前のこと好きか。思い知るべき」