空気が、変わった。

「アイスホッケーも。恋も?」
「どっちも負けません」

 2人が、より一層強い絆で結ばれたような、そんな気がした。

「エリナちゃん」
「なによ」
「俺と付き合お」
「え?」
「君が手に入るなら。他の女の子みんな切るよ」

 それ、呪われるやつ。

「一途なやつ。好きでしょ?」

 ほんとに変わろうとしているの?

「気づいちゃった。君といると俺はすごく楽しいし。君を心から可愛いと思ってるってことに」

 それが成澤の、本心。

「あーあ。困らせちゃった。ごめんね?」

 謝らないで。

 気持ちに応えられないのは、わたし。

「いっそ。3人で付き合えばよくない?」
「依里奈は俺のです」
「うわー。独占欲強すぎるよ氷河。重いと嫌われちゃうよ?」
「……え」
「エリナちゃん。氷河は器用なのか不器用なのか、策士なのか天然なのかホントよくわかんないやつだけど。仲良くね」
「っ、はい」
「泣きそうな顔しないでよ」

 そう言ってはにかむ成澤の笑顔は、これまで見た中で一番優しい笑顔だったんだ。