「まーた。君は、そうやって」
「なによ」
「かわいいこと無意識に言っちゃう」
「成澤からの【かわいい】ほど響かないものはない」
「えー。泣いちゃう」
「泣けば」
「あ、あの」

 真柴くんが、右手を小さくあげる。

 質問があるようだ。

「なんだいマメシバくん」
「ま、真柴っす」
「シバイヌくん」
「……部長から、どのポジションやりたいかって聞かれて。悩んでるんすけど」
「ゴールテンダーがやりたい?」

 成澤の言葉に、真柴くんが目を見開く。

 わたしも意外な展開にペンの動きを止めた。

 当麻氷河は課題を続けている。

 アイツのことだから、聞いていないようでしっかり聞いている気もする。