#27 本気


 夏休みに入った。

 これまでの夏期休暇といえば特別やることもなくて、去年は受験勉強に明け暮れていた記憶しかないが、今年は特別な年になる気しかしない。

 なぜなら、

「もうすぐ合宿っすね~!」

 そう。

 夏合宿があるのだ。

「いやー、わくわくします。自分そういうの初めてなので」

 晴れて正式な部員になった真柴くんは、真面目に練習に励んでいる。

「口じゃなく手を動かせ」
「すみません!!」

 当麻氷河と真柴くんと3人でやってきたのは、涼しくて広くて快適な場所。

 ここで夏休みの課題をはやく終わらせてしまおうという魂胆だ。

「頑張るねえ。一年生諸君」

 そんなわたしちの目の前で優雅にクリームソーダを飲んでいるのは、あの男。

「俺は生まれて一度も課題なんてやったことないのに」