部室でのこともあってちょっと顔を合わすの気まずい、と心配する必要は1ミリもないくらい、いつもの成澤だ。

「それにエリナちゃん、今日は氷上練習に来ないって話だったはずじゃ?」
「……っ、見学だよ」

 見学なら正式な部員でなくても行く理由になるでしょ。

 明日こそフジオ先生見つけて入部届けつきつけてやる。

 ちなみに当麻氷河との家デートは、流れた。

 いいさ。

 焦らなくても……また機会はあるさ。

 練習前にアイツに無駄に体力使わせるのもよくないしね!?

「ははーん。そういうことなら俺のことずっと見つめててね」
「視界からシャットアウトしてやる」
「エリナちゃんの奥深くに侵入したいなあ」
「お……奥深く?」
「まともに受け取らなくていい真柴くん。この男はセクハラが8割だから」
「ひどいな。味方でいるうちは優しい先輩だよ?」

 敵にまわしたくなさすぎる。

「よく見たら可愛い顔してるねー。君はチェリーボーイなの?」
「え……」
「卒業させてくれる優しい女の子、紹介してあげようか」
「ソツギョウ……!?」

 おい。

「男になりたいだろ?」
「じ、自分はアイスホッケーを始めて、漢になるっす」

 よくいった、真柴くん、

 それでこそオトコだ。