「俺いた方がいいだろ。力ねえんだから」

 どうして怒らないんだろう。

 また成澤に好きなようにされて、呆れてる?

「呼べよ」

 ――え?

「ナリさんづてじゃなくて。必要ならお前が俺を」
「そりゃあ。二人の方がはかどる……けど」

 呼ぶつもりなかったし。

 深夜練を控えた――それもテスト明けの部員を付き合わせるってのは抵抗しかなく。

 当麻氷河をここに呼んだのは間違いなく成澤の独断で。

 それでも、

 こうして二人で過ごせるのは嬉しい。

 当麻氷河がいた方がいいか?

 そんなの――いた方がいいに決まっている。

「ねえ」
「ん?」
「抱きしめて、欲しい」