#23 今夜あけとけ


 ――釣った魚には餌を与えない


「とりあえず窓開けねーか」
「……ウン」

 成澤から耳打ちされた言葉が頭の中をぐるぐるとまわっている。

 あれはきっと、わたしの反応を見て楽しんでいただけだ。

 そうに決まっている。

 だから、気にしなくていい――はずなのに。

「あのさ。当麻氷河」
「ん?」
「来てもらったとこアレだけど。帰っていいよ」

 めちゃくちゃ気にしてしまう。

「練習まで休んどかなきや、でしょ?」

 飽きられてしまったらどうしよう。