結局、フジオ先生は捕まえられなかった。

【部室の鍵。どうにかして借りれない?】

 仕方がないので成澤に連絡を入れると、瞬時に既読がつく。

【氷河といかがわしいことするのかい?】

 コイツを頼ったわたしがバカだった。

 うざい返事を既読無視してると、

【黙秘は認めたとみなそう】

 うざさの際立つメッセージが届く。

【それとも。俺と使いたいのかな?】

 2年も今日テスト終わって下校してる頃だよね。

 暇なの?

【掃除したいの】

【掃除?】

【わたし正式なマネージャーじゃないから練習に顔だしていいかわかんないし。せめて部室の片付けでもしておこうかと】

 今日は氷上練習があるそうだ。

【そんなこと気にせずにリンク来れば? 夜、うちの車で迎えに行くからさ】

【役立つって確証が必要なの】

【よくわからないけど。鍵なら職員室にある】

 職員室か。

 井上に頼んで借りるのが手っ取り早そうだ。

「それと。俺も持ってるけど」
「……!」

 振り返ると、成澤がいた。