ギロリと睨み付けてやるも、呑気に笑っている成澤。

 頭おかしいんじゃないの。

 サイコパスなの?

「そういうことは、アイツにまともに相手されるようになってから言おうね? 氷河のかわいいストーカーちゃん」
「なっ……」
「冷たくされても追いかけて。健気だねえ」
「ちがう。わたしはーー」

 全力で否定してやろうとしたら、

「っていうか。君さあ」

 成澤がわたしの耳元で囁いた。

「ショジョだろ」
「……っ!?」
「耳まで真っ赤。ピュアだねえ」

 この、セクハラ野郎。

「まあ。頑張って。期待してないけど」

 ポンと頭に置かれた手を可及的速やかに振り払う。

「身の丈に合わないことしてると。疲れない?」
「なんのハナシ」
「さあ。なんだろうね」

 方針状態のわたしを置いて、成澤は手をヒラヒラと振って教室から出ていった。