氷河くんのポーカーフェイスを崩したい。

 その事実は、わたしを苦しめた。

 今なら文句を言い返してやれるかもしれない。

 だけど当時のわたしはそんな威勢もなくて。


 食べ物が美味しいと感じられなくなった。

 身体が【食べること】そのものを拒絶した。


 学校に行くのもイヤになった。


 うちから出なくなった。

 いわゆる不登校児というやつだ。


 進級して、6年のとき

 新しい担任の先生が、うちに来てこう言った。


『教室にくるのが辛ければ、保健室に来てみませんか』


 誰にも会わないように登校時間をずらして来ればいいと、話してきた。


『おはよう、纐纈さん』

 保健室の先生は、わたしを、あたたかく迎えてくれた。


 特別扱いを受けるわたしのことを悪く言っている生徒がいたことは知っている。

 そういう話は嫌でも耳に入ってきたから。

  不平不満が出るのも当然だ。

 みんな当たり前に受けている授業を一人だけ受けずに過ごして出席扱いになるわたしを【サボってる】【ラクするな】と言いたくなるのも無理はないから。

 それでも、毎日というわけじゃなかったが、保健室に登校することは続けた。