別れるのが、なんだか名残惜しい。

 明日になれば学校で会えるのにね。

 アイツは動かない。

 わたしが改札通るまで見送ってくれるつもりなのだろうか。

 ここをうちの生徒が通る可能性は少ないかもしれないけれど、きっとゼロではない。

 噂とか立つ前に、離れなきゃ。

 当麻氷河に背を向けようとしたとき、

「家ついたら連絡して」

 そう言ったアイツの顔が
 ほんの少し切なげに見えたのが

 ――ひょっとしたらアイツも同じ気持ちでいてくれたかも、なんて考えてしまったのが、わたしの自惚れでなければいいのに。