#16 衝動


「いらっしゃいませ」

 沙里の働くカフェは、社会人が多く。

 スーツを着てパソコンやタブレットを使ってバリバリ働いている。

 読書をしている人もいる。

 そんなお店に制服で来たものだから、完全に浮いている。

 窓際の小さな席に通された。

 これはもう勉強するしかない雰囲気。

「ご注文は、お決まりですか?」

 やってきたのは、沙里だ。

 クラスメイトが働くお店にやってくるというのも、不思議な気分だな。

「アイスミルクティー」
「タピオカ入りの?」
「普通のでいいよ」
「遠慮しなくても。店長のおごりだから」

 店長さんってどんな人だろう。

「今、手が離せないから。あとで出てくるって。まあゆっくりしてってよ」

 井上みたいなオッサンが出てこないことを願う。