#14 大切にする


 それは、まるで宣戦布告。

「氷河が氷のない場所でこんなに熱くなる男だとは思わなかったよ」
「コソコソしたくないので」
「……余裕ないクセに?」

 成澤が、なにか小さな声でつぶやいた。

 なにを言ったかまではわからない。

「まあ、心配しなくても横取りするつもりないから。二人は俺の可愛い後輩なんだ」
「遠慮してるんですか」
「たしかにエリナちゃんは可愛いよ。でもね。俺は一人の女の子、選ぶ気なんてないんだ」

 そういうと成澤は階段を上って行く。

 そのとき、

 相変わらず軽い口調な成澤の背中が――なぜかとても重く見えたんだ。