沙里は、中学時代のアイツを知ってる。

「……あのさ」
「ん?」

 当時のアイツって、どんなだった?

 トクベツ仲いい友達いた?

 卒アルとか見たいなあ。

「なんでもない」

 …………言えるかよ。

「あれ? エリナ」
「な、なに」

 沙里の目線が落ちる。

「ネイルとったの?」
「あー……。うん」

 力作だったけど落としてきた。

「なにも塗ってないよね」
「塗ってないよ」
「でもピカピカ」
「やすりで磨いてきたからね」
「爪ってマニキュアなしでそんなに光るんだ」
「4回磨いた。荒いのから徐々にきめ細かいヤスリにかえて」
「手間かかりそー」
「そんなことないよ。テレビ見ながらできるし」