返事は、ない。

 なにか言え。

「一つでいいと思っていた」

 ――ひとつ?

「要らなかったんだ。アイスホッケー以外に、大切なものは。作ったところで蔑ろにしてしまうだろうだから」

 それだけの覚悟をもって、いろんなことを割り切って、続けてきたんだよね。

「だけど。揺らいでる」

 ゆらいでる?

 大切なものが、できそうだから?

「……わたしのせい?」

 それが、わたし?

 …………なんて。

 さすがに、これは、解釈違い。

 自惚れすぎ。

「ごめん! 今のナシで――」
「やっぱお前、」

 アイツの唇が

「……ズルい」

 わたしの耳元に近づいてくる。