「部に迷惑かけるつもりないから、心配しないで。成澤は――ほら、あのひと壁ないでしょ。そういう意味ではイロイロ頼るかもだけど、クラスの男子や井上みたいに扱うつもりない」

 アイスホッケーを愛する人たちのことは、純粋に、尊敬できる。

 ……成澤も含めて。

「やるなら、ちゃんとサポートしていけたらなって思う。最初は見守るくらいしかできなくても。役に立ちたい」

 トラブルなんて、起こす気ない。

「だいたい成澤本人がよくわかってるでしょ。なにがアウトでなにがセーフか。あんたが言うみたいに根は真面目なスポーツマンなら、セクハラまがいなこと言うだけで一線引くはず。そのへんは信じてあげたらどうなの」
「無理だな」

 ……え?

「相手が纐纈さんなら。ナリさんは止まらないだろうと思う。きっと容赦しない」
「……なんで」
「自信過剰に振る舞うクセして。そういうところ。自覚症状足りなさすぎるだろ」
「どういうところ?」
「あのナリさんが欲しくなるの、よくわかる」

 そう言ったアイツの大きな手が、

「正直」

 わたしの背中にまわってきて。

「俺だって欲しい」

 大きな胸に、抱き寄せられたんだ。