――ほんとは、怖かった
「怖かったの。すごく」
あんな風に井上が豹変するとは思わなかった。
怖かったし……悔しかった。
「なにかに夢中になれよ」
…………え?
「そうすりゃお前も変われるだろ」
先の見えない暗闇に迷いこんだまま、抜け出せなくなっていた。
「簡単に言わないでよ」
「だったら、この先も笑いたくないのに笑って。どうでもいい相手に思わせぶりな態度とって。無駄にその場だけの関係作り上げてくか」
「……っ」
「どこか無理してるように見えるから――小松さんはお前に素直になって欲しいんじゃねえの」
「……沙里が?」
だけど、光が差し込んできた。
「夢中にさせてやろうか」


