昔々、あるところに小さな山に囲まれた村がありました。

その村に住む男の子は、幼いながらに恋をしていました。その相手は、金色の長い髪をした少し年上の女の子です。

しかし、彼の想いはーーー。



山に囲まれたその村では、秋になり村人たちは稲刈りや冬を越すための支度で忙しい。しかし、子どもたちはのんびりの遊び回ることができる。

村に住む七歳のリュウハもその一人だ。仲間たちと木登りをして遊んでいる。

「父ちゃんたち、でっかいイノシシが取れるといいな」

「だな。あとはウサギとか」

仲間たちとそんなことを話し、リュウハは笑う。木の上からは、秋に色づいた村や山がよく見える。山々は赤や黄色に染まり、村では相変わらず大人たちは稲刈りに汗を流していた。

「俺たちもいつか、あんな風に働くのか〜……」

リュウハは、自分の着ているからし色の着物を見つめる。木登りをしたため、ほつれているところもあった。こんな風に遊べなくなるなんて、幼いリュウハにとっては信じられないことだ。