「兄貴が戻ってきたから、この家には兄貴に入ってもらったらって僕は思ているよ」
「一樹に? 」
「うん」
「でも、一樹は自由主義だから。当面、結婚なんてありそうもないわよ」
「そうかな? なんだか、昔とは違う感じがするよ」
「まぁ、それはまた考えておくわ」
笑い話をしながら、穏やかな時間を過ごして。
あっと言う間にお昼を過ぎた。
夏樹と空は宗田家を後にして、買い物をするためにショッピングモールへ向かった。
食材は勿論、不足している日用雑貨なども買う事にした。
あれこれと2人で買い物をしていると。
遠くで、夏樹と空を見かけて一樹がいた。
夏樹と同じ顔をしていても、一樹はきりっとしたクールな目をしていて、俺様な目つきをしている。
髪は短髪で、スッポーツマンのようで。
背が高くスラッとしているため、モデルのように見える。
茶系のシャツに、黒いフード付きの上着に紺色のジーンズに黒系のスニーカー姿はとても若々しく見える。
「へぇー。夏樹のやつ、案外面食いなんだ」
遠くで見ている一樹は、幸せそうに買い物をしている夏樹と空を見て嬉しそうに笑っていた。
それから…。
街にはクリスマスソングが流れ綺麗なイルミネーションが輝く季節になった。
あれから空と夏樹は入籍をして、空の住んでいるマンションで暮らす事にした。
結婚式はまだ先になる。
その理由は…。
今日は平日。
いつも通り仕事をしている空。
夏樹と入籍して、空は藤野山から宗田に苗字が変わった。
入籍する前に退職する予定だったが、もう少しお金を貯めようと空が言い出して子供ができるまでという約束で仕事を続けることになった空。
入籍する前に空は、ボブヘヤーだった髪をショートにして顔がはっきり見える髪形に変えた。
今までの暗い感じとは違い、パッチリした可愛い目がキュートで、周りからの好感も高くなって今更ながら、男性社員が空に惚れ直していた。



