小学三年生になったある日。

「紗夜。コンクールに出てみない?」

その先生の言葉で私は初めてのコンクールに参加することになった。

「もっと指を立てて。そこ!音が抜けてる!16分音符揃えて。ちゃんと音聞いてる?またそこ音揃ってない」

レッスンも前より厳しくなっていた。しかも今までも弾いてきたきらきら星変奏曲の細かい部分を徹底的にやらされた。

これまでのレッスンはただの習い事程度。

このレッスンはコンクールに出てピアノを本気で上手くなりたいって思う人へのレッスン。

私が甘やかされていたことを実感した。


基礎を徹底的にやり終わってからは曲作り。

きらきら星変奏曲は12の変奏曲から出来ている。

その一つ一つの曲の特徴を掴み、その曲にあった弾き方をしなければならない。


難易度が高いきらきら星変奏曲を私なりに作り上げるために厳しいレッスンも乗り越え、コンクールに向けてピアノ一色の生活を送った。