「芽唯、じゃあね〜」

「また明日」

「奈穂、時雨、気をつけてね」

家が近く、自転車で帰るという2人に別れを告げ、私は駅に向けて歩く。

“気をつけてね”

それは私の心からの言葉だった。



「ただいま〜」

「おかえりなさい」

「ねぇ!お母さん!絶対わざとでしょ?」

「んー?なにがー?」

すっとぼけるお母さん。

でも目が泳いでる。

「ただいま.....ってどうかしたのか?」

丁度いいタイミングでお父さんも帰宅。

「お父さんも!なんであんな学校にしたのよ!」

「楽しくなかったの?」

「楽しかった.....けどさ」

「じゃあいいじゃないか。腹減ったー。飯だ飯。紗夜の入学祝いだぞ!」

「そうね!お母さん張り切っちゃったんだから。さぁさ、行くよ」

上手くはぐらかされた。

でもまぁいっかと気を取り直し、食卓に向かった。

.....だってお腹空いてたんだもん。