「ほら。森本紗夜よ」

「やっぱり他とはオーラが違うわよね」

「今日の演奏も楽しみだわ」

会場では私をチラチラ見ながら、なにやらコショコショ話している人をよく見かける。

こういうのもだんだん慣れてきていた。


そのあと受付を済まし、参加者用の控え室に行くように指示された。

「はい、紗夜。私の目見て。いい?」

「「自分の演奏をする」」

「他に惑わされちゃダメよ。.....さぁ、楽しんできなさい」

これも恒例のようになっていた。

その言葉には何度救われたかわからない。

私は先生の笑顔と声に背中を押され、1人で控え室に向かった。