あと1番驚いたことは.....

「堀田郁花(ほったいくか)さん、森本紗夜さんの先生になられたというのは本当ですか?」

「まだショパンコンクールに出られる年齢ですが出られる予定はありますか?」

「決勝前日に出られなくなったときの気持ちはいかがでしたか?」

「今までどこにいらっしゃったのですか?」

堀田郁花先生。それは私の先生の名前。

先生はショパンコンクールの決勝前日に体調不良で倒れ、出られなくなってしまった悲劇のピアニストとして大きく報じられていたらしい。

しかし先生は姿を消し、私の小学校で先生をやっていたということ。

そのときになって初めてそれを知った私。

改めて先生の凄さと私が恵まれていたことを実感した。

そして.....

記者の質問に一切答えず、悲しそうな顔をして戻ってくる先生を見ながら、このとき私はショパンコンクールで優勝するという志を新たにしたのだった。