「紗夜!ドレスは?靴は?遅れるぞ!早く出よう」

「惺くんちょっと静かにして。忘れ物は今確認してるところ。遅れるって言ったってあと3時間もあるんだから。あそこには1時間で着くんだよ?ちょっと焦りすぎ」


あれから15年が経った。

ショパンコンクールが終わったあとはいろいろと大変だった。

桐花さんの言いつけを守り、優勝者コンサートを全うした私だったが、私とお兄ちゃんが付き合っているというニュースで報道陣から問い詰められるという事態に。

仕方なく、私たちが兄妹だということと私が付き合っているのは惺くんだと言うことを話してしまった。

全てが終わり、日本に帰ると今度はいろんな番組に出演したり取材を受けたりと忙しすぎる毎日。

先生のことを悲しんで、くよくよしている暇もなかった。

逆にそれはよかったのかもしれない。


やがて大学生になると、お兄ちゃんがいるアメリカに留学し、最高峰の大学に進学した。

まぁ結局、お兄ちゃんとは離れられない運命の人ってことだ。

なんだか笑えるよね。