その時不思議なことが起こった。

意識が現実から離れていく。

.....。


そこは真っ暗な空間だった。

「紗夜」

「.....先生?」

「優勝おめでとう。約束守ってくれたのね」

「せ.....んせ...い。ごめんなさい。私のせいで.....」

「ううん。紗夜のせいじゃないでしょう?それと.....慎哉くんのせいでもないわ。だってあのトラックの運転手は慎哉くんじゃないもの」

「え.....?」

「紗夜。お兄ちゃんを許してあげなさい。あの子はあなたを守るために自分を犠牲にしたのよ」

「どういうことですか?」

「私からは詳しくは言えない」

「分かりました。私.....ずっと先生に会いたくてたまらなかった.....っ。先生がいないのが死んじゃいたいくらい辛くて.....っ」

「でも今は支えてくれる人がいっぱいいるでしょう?私はあなたに出会えて幸せだったわ。大好きよ。あなたが見つけた自分の演奏を貫き通しなさい、紗夜。あなたの幸せを誰よりも祈っているわ」

「待って.....!行かないで下さい.....!先生.....私も先生と出会えて幸せでした。大好きです.....っ」