そして始まった演奏。

お兄ちゃんの演奏は本当に正しく完璧だった。

どんなパッセージも弾きこなす技術で全ての場面を1つ1つ全く違った表現で弾いていく。

お兄ちゃんに“苦手”などなかった。


私はこんな演奏に勝てるのか.....?

いや、勝つしかない。

全ては先生のため。

.....違う。


聴いてくれた全ての人のため。

共に戦ったコンテスタントのため。

支えてくれた家族のため。

ずっと待っててくれた友達のため。

.....自分のため。

もう先生のことだけを考えて弾くのはやめよう。

それは逆に結果には繋がらないから。