アメリー・ニコラの演奏が終わったあと、いてもたってもいられなくなった私。

第1次審査のときと同じ感覚だった。

ピアノが弾きたい.....っ。

私が感じた全ての“色”を“光景”を演奏に生かす術を見つけたような気がした。

あの子は観客を見ていないんじゃない。

観客をも自分の演奏の1部として取り込んでいる。

やるしかない。

私はあの子に勝たないといけないんだから。



「よし、やはり予想通りだ」

「どうした?ルイス」

「サヤは練習をしに行った。アメリー・ニコラの演奏は刺激になるからな」

「もう少しで実力解放と言ったところか」

「そうだ。見てろよ、ボクの自慢の生徒の力を」

「あぁ、わかっているさ」