「紗夜.....。なにか事情があるんだろ?わかったよ。関わらない」

「.....」

「でも最後に俺が言うこと聞いてほしい」

「.....うん」



「俺は紗夜の演奏を最初に聴いたときに初めて人の演奏に感動した」

「.....」

「俺は、あのときお前の演奏に、お前に.....一目惚れしたんだ」

「.....っ」

「お前と話すたび、お前の演奏を聴くたびに好きで好きで堪らなくなって.....っ」

やめて、やめてよ、惺くん。

私、ずっと気づかないふりしてたの。

だって恋なんてしちゃいけないから。

だからお願い。

私の心の蓋を開けないで.....っ。

「お前はいつだって俺にとっての星だった」

.....あなたはいつだって私にとっての星だった。

あなたが私にかけてくれた言葉に、あなたがしてくれた行動に、あなたの優しい音色に救われた。

あなたは旅人を導く北極星のように私を導いてくれた。

「ごめん。こんなこと言って。やっぱり俺、先に帰って.....!?」

「バカ。バカ。惺くんのバカ.....っ」

「.....っ」

「好き.....大好きなんだよ!私は恋なんてしちゃいけないのに.....っ」

温もりを感じ、ハッと顔を上げると逞しい惺くんの腕に抱きしめられていた。

「もう離さないから。俺はどんなに傷ついたっていい。絶対にお前を救い出してやる」

「.....だめだよっ」

「言い方を変えようか。一緒にいい方法を探していこう。誰も傷つかない方法を」

何度も頷き、負けないくらい強く惺くんを抱きしめ返す。