美しい街並み。

人々の賑わい。

宮殿や協会。

青い空。

生い茂る緑。

そんなワルシャワのありきたりな光景を五感を使って感じる散歩。

普段の何気ない光景にだって感動は溢れているから。

「夕焼けだ.....きれい.....」

「そろそろ日が暮れるな。帰ろうか」

やだ。帰りたくない。

「星.....星が出るまでここにいよう?」

「.....そうだな」

移りゆく空の色を眺めながら、ぽつぽつと私は話し出した。

「あのね。私が今までいなくなってた理由.....」

「教えてくれるのか?」

「ううん。教えられないの、ごめんなさい」

「.....」

「それともう関わらないでほしい」

「は.....?」

「もう誰も傷つけたくないの.....っ」

全てを話してしまおうかと思った。

でも言ってしまったらお兄ちゃんは何をしでかすかわからない。

だから必死に泣くまいと歯を食いしばる。