きらきら星に魅せられて

もう次は私の出番。

自分のやるべきことが決まっていないときほど緊張するのが人間の性というもので。

こんなにも緊張するのは久しぶりだ。


「森本さん。どうぞ」

でももうやるしかないんだから。

観客のためじゃない、自分のために弾こう。

「16番 森本紗夜。日本」

ザワつく会場。

きっと噂は流れているんだろう。

そんなの気にしてたら終わり。

だって私は今、ピアノしか見てないから。


そこは小学校の音楽室。

隣には先生がいて。

目の前には大好きなピアノがある。

もう観客なんていなかった。

ここには先生とピアノと私だけ。


小学6年生の夏。

先生と共に作り上げた因縁の“黒鍵”を最高の音色で響かせよう。