それからというもの、私は誰とも会わずにまた家に閉じこもっている。

ただ.....

ピアノは弾いている。

先生が私を恨んでいたとしてもショパンコンクールで優勝というのは先生との約束だから。

先生の気持ちを聞けない今、約束は果たすしかない。


ふと何気なくテレビのリモコンを手にし、適当にチャンネルをつけた。

「3位入賞おめでとうございます」

「ありがとうございます」

「今のお気持ちはいかがですか?」

「とても光栄なことですが、悔しい気持ちでいっぱいです」

「森本さんとは会っておられるのですか?」

「いいえ。予選以来一度も会っていません」

「突然の失踪は2度目となりますが、どう思いですか?」

「森本紗夜にも事情はあります。あまり深入りしないことをおすすめしますよ」

「森本さ「ポチッ」

「はぁ.....」

見たくもないものを見てしまった。

その一方気になる気持ちもあって消すのを躊躇ってしまった。

ごめんね、星羅ちゃん。

それからありがとう。

ショパンコンクールの舞台でまた会おうね。

もうあなたと関わる気はないけど。