本番当日。

今は4限目ということもあり、緊張はピークに達していた。


今日の本番はかなり大規模にやるらしい。

昼休みの時間を伸ばし、一般公開。

観客は自分のスマホに決められたアプリを入れ、一人一人に得点をつけ、全体の平均点をコンピュータで一瞬にして出すとのこと。

かなりハイテクなシステムだ。

きっと金持ちの家の出である星羅ちゃんや奈穂のわがままを通しているんだと思う。


周りを見渡すと今日出る女子たちはやっぱりそわそわしているのがよくわかる。

ピアノを弾く人にとって大勢の人の前で弾くことはとても幸せなこと。

あの子たちは習っているわけでもないのにそんな場に立てるということを少しだけ恨めしく思ってしまった。

まぁいい。

私もその舞台に立てるのだから。


ふと何気なく星羅ちゃんを見ると、少し顔が強ばっていた。

いつも余裕そうな星羅ちゃんらしくない。

でも不安なのかもしれないな。

あんなに強がっていたけど一応こっちには10人もいるんだから。

それに時雨はかなりの実力者。

さすがの星羅ちゃんでも緊張するかもしれない。

私の視線に気づいたのか星羅ちゃんが突然こちらを振り返った。

慌てて視線を逸らす私。

―――星羅ちゃん。私は絶対にあなたに勝つ。“私たち”じゃなくて私1人で。