「花本さん、何かあったの?」

「え?」

女の先輩が私に声をかけてきたのは、それから1週間位たってからの事。
休み時間、マリと移動教室に向かっている時の事だった。


「だって音楽室急に来なくなったから」

マリが不思議そうに先輩の方に視線を向けるから。そういえば、この女の先輩の話してなかったんだと気がついた。


「あー、先行ってて」

怪しげに眉を潜めるマリの背中を押して、先に行って貰う事となる。



「お友達大丈夫?」

マリの後ろ姿を見て、先輩は遠慮がちにそう言うけれど。


「べ、別に私行く必要無いじゃないですか?」

最初に声をかけたのは先輩じゃんなんて思って、唇を尖らせた私の言い方は卑屈っぽくなってしまったかもしれない。