先輩の彼女

「久実が、友情を捨てるヤツだったなんて、思わなかった!」

肝心の絹花は、まだ玄関で騒いでいる。


こうしていられない。

絹花には悪いけれど、無性に間野さんに会いたくなった。

身の回りのモノだけ持って、私も玄関に行く。

「ごめん、絹花!私、今から先輩の家へ行ってくる!」

「はああ?」

元々大きい絹花の目が、更に大きくなる。

「本当にごめん。何度も諦めようとしたんだけど、もう気持ちが収まらない。」

絹花は口を開けて、ポカーンとしている。

「もし、絹花が私の事、一生許さないって言うんだったら、それは仕方がない。それでもいいって思えるくらい、先輩の事が好きなの!」

私は唖然としている絹花を、玄関の外に引っ張り、鍵を掛けた。

「じゃ!気を付けて帰って、絹花。」

私はまだ呆然と立ち尽くしている絹花を置いて、マンションの外に、ダッシュした。


ごめん、絹花。

夜遅くにごめんなさい、間野さん。