朝礼が終わり、部長に事情を話して、私は早速POPが届いていないお店へ。

「はあー。今から駅に向かって、電車に乗って……」

そこへバイクの音が、鳴り響く。


誰だよ、朝から。

横目でちらっと見たら、そのバイクに乗っている人は、私の横に、バイクを停めた。


えっ?

まさかの知り合い?


ヘルメットをとったその人は、こんな時に会いたくなかった谷岡君だった。

「おはようございます、久実さん。」

「おはよう……谷岡君。」

この前の週末の別れ方があれだっただけに、なんだか気まずい。

「あの後、無事に帰れました?」

「ああ、うん。」

まさか、部屋の鍵をなくして、間野さんの部屋に泊まらせて貰ったなんて、口が割けても言えない。

「そう……ですか。」

意味深な受け答えをした谷岡君。

「実は、一度家に帰った後、コンビニに行く用ができて、あの道もう一度通ったんです。そうしたら、これが落ちてて……」