先輩の彼女

バスルームの扉を開けると、まだ使った形跡がない。

「……先輩、まだシャワー浴びてなかったんだ。」

じゃあ、今までどこにいたんだろう。

不思議に思いながら、手早くシャワーを浴びる。


私がリビングに戻ってきた時には、間野さんは寝息を立てていた。

「先輩。シャワー有り難うございます。」

「うん……」

起き上がった間野さんは、目を擦りながら、バスルームに向かって行く。

「先輩。やっぱりまだ、シャワー浴びてなかったんですね。」

ふいをつかれ、間野さんが足を止める。

「どこにいたんですか?あの時間まで。」

すると、間野さんがゆっくり、こっちを見た。

「お前には、関係ない。」

無愛想にそう言って、間野さんは行ってしまった。


もしかしたら、絹花と会ってたのかも。

意表をついて、会社に戻ったとか。

帰りに友達に会って、飲んでいたとか。

勝手に、想像する。


「関係ないか。」